平成24年度 山形県高等学校社会科教育研究会〈巡検〉
米沢工業高校定時制 長岡正宏
平成24年6月6日(水)
【巡検の内容】
《巡検ルート》
つたや肘折ホテル 〜 四ヵ村棚田・地滑り資料館 〜
(9:50 発) (10:20 − 11:30)
清水城 〜 松尾芭蕉乗船地 〜 戸沢村日韓ひろば
(11:50 − 12:30) (12:40 − 12:45) (13:00 − 14:30)
@四ヶ村棚田
「四ヶ村」とは、この地域にある豊牧・滝の沢・沼の台・平林という4つの集落を合わせた呼び名だそうです。この棚田は、平成11年に朝日町の椹平地区や山辺町の大蕨地区とともに『日本の棚田百選』に選ばれました。
A地滑り資料館
偶然ですが、今年度始め大蔵村肘折の地滑りは報道等で大きく取り上げられました。4月10日に地滑りが発生し、5月13日夜には、温泉街を流れる銅山川が一時せき止められ、避難指示が出るという状況でした。現在は、大規模な崩落の恐れはなくなったと言われ、復旧に向けた工事が進められています。
この『地滑り資料館』の存在が示すように、肘折では地滑りが珍しいことではありません。その原因となるのがこの地域の地質です。肘折は、カルデラの中にあり、表面を火山灰(シラス)が堆積しています。その下の地層は粘土質であるため、滑りやすく、融雪水や雨水等がしみ込んでくると、それが地滑りにつながるというのです。これまでも、この地域では数多くの地滑り被害が発生しているのです。
今回は、国土交通省東北地方整備局新庄河川事務所の方に説明をして頂きました。特に今回の地滑りに関しては、実際の映像などを交えて、大変分かりやすく興味深いお話を聞くことができました。
その後、排水トンネルの中も見学させて頂きました。雪解け水が大量に流れ出るトンネル内は非常に寒く、夏の装いをされている先生の中には、リタイヤして引き返される方もいらっしゃいました。
◎新庄河川事務所のHP
http://www.thr.mlit.go.jp/shinjyou/04_gakushu/04_index.html
B清水城
大蔵村役場から、最上川をはさんだ高台にあるのが清水城址です。今回、大蔵村の教育長さんにご説明を頂きました。建物は全く残っていません(伊達氏がここを去る際に石1つ残さず壊したと言われています)が、現在までの約390年間、城郭が全く手つかずの状態で残っており(この時代の山城が、これだけ良好な状態で残っているのは全国でもまれだそうです)、平成23年12月27日に県指定史跡となりました。
大蔵村教育長さんによる説明 外堀の跡
本丸の様子 本丸にある東屋は、倒壊の危険性あり…
清水城址から見える対岸は、典型的な河岸段丘となっている(村役場の段と、小中学校がある段、住宅地が並ぶ段)。
C松尾芭蕉乗船の地
芭蕉は尾花沢で10泊したあと、新庄で2泊し、この地から舟に乗り庄内へと向かったそうです。その途中に詠んだ句が
『五月雨を 集めて早し 最上川』
です。この句碑がこの地に建立されています。
芭蕉と曽良の像 乗船地と芭蕉の句碑
D戸沢村日韓ひろば
ここでは、韓国から日本に嫁がれた大友スンホーさんより、簡単にできる本格キムチの作り方を教えて頂きました(代表8名の先生方)。優しく丁寧にユーモアを交えた料理教室で、非常に有意義な時間となりました。
我が置賜地区地理部会からも、長井高校の早川先生が参加されました。スンホーさんが、ダイナミックに唐辛子をバンバン投入する様子を見て、周囲で見守っている先生方からは驚きの声が上がりました。しかし、韓国ではそれくらいが当然なのだそうです。
こちら向きに並ぶ方の一番左がスンホーさん それぞれに分担し、手際よくキムチを作る
ついに完成。スンホーさんからは「全部食うまでこの部屋のドア開けないわよ」との発言が…。 もちろん、お弁当と一緒に、おいしく頂きました。
Eその他
この日は、『金星の太陽面通過』という今回を逃すと105年後まで見られない非常に貴重なチャンスの日。しかし天気はあいにくの曇り空。それでも、ちょっとした雲の切れ間からそれらしきものを捉えることができました。今年は、金環日食(山形では部分でしたが)や、8月の金星食など空の話題が満載の年ですね。
何と言っても今回の肘折では、大規模地滑りの直後と言うことで、開催が危ぶまれる状況でした。地滑りが起こりやすい土地の上に、この冬の記録的な大雪(肘折では最大413cm)が重なったことが原因と言われています。
←大規模な崩落の現場
復旧のための工事が急ピッチで行われています。