平成22年度 山形県高等学校社会科教育研究会 〈巡検の様子〉

米沢工業高校定時制 長岡正宏

 平成22年6月9日()

【巡検の内容】

 

【巡検のルート】

 ヒルズサンピア山形   〜   東北芸術工科大学文化財修復保全研修センター

9:15発)                       (9:25-10:50)

 

 〜  株式会社シベール見学〈ラスク工場・遅筆堂文庫山形館・シベールアリーナ〉  

(11:05-11:30)

 

〜  昼食〈シベールズカフェ〉   〜   長谷堂城址公園     〜

(11:30-12:30)           (12:45-14:40)

 

ヒルズサンピア山形

(15:15 )

 

@    東北芸術工科大学文化財修復保全研修センター 

山形市西部にある、東北芸術工科大学内にあり、平成13年に全国初の大学付属文化財研究機関として設置されました。東北各地から保存修復業務の依頼を受けた文化財を中心に、研究を行ったり教育目的に活用し、地域に還元しています。

 

  東北芸術工科大学           「歴史遺産研究室」は、発掘調査の前線基地

 

 

「西洋絵画修復室」では、実際に学生が1つの作品 「東洋絵画修復室」では、掛軸や屏風・古文書など

を担当して、修復のための準備をしていました  を修復。この時も曼荼羅の修復途中でした

←X線検査室では、作品や資料の構造・材質などを分析

 

最後に、仏像の修復を見学させて頂きました。県内

の観音堂から運ばれてきたものを修復中でした

 

 ここでは、貴重な文化財を修復する過程や方法などについて、実際に目にすることができ、大変有意義な時間を過ごしました(実際、予定時間を大幅にオーバーしました)

西洋絵画修復でお聞きした中で、「この作品は、4月に来てからまだ実際に修復には入っていません。病院で例えるなら、まだ診察中。とにかく時間をかけて、材質やどう修復するかについてしっかり分析しなければならない。それが終われば、修復も8割がた終了したようなものです。」という話は印象的でした。

また、仏像の修復では、ただ直すのではなく、もう一度元に戻すことができるような状態にすること(修復した部分を取り外せるようにして、修復前の状態に戻せるようにする)。ミロのヴィーナスのように、無くなってしまっている部分の修復については、美術品として存在しているのであれば、想像して修復と言うこともできるかもしれないが、現役()の仏像は、信仰の対象でもあるので、勝手なことはできない。できるだけ調査して元に近い状態に直すが、分からないものについては、敢えて直さないということもあるという話でした。

※興福寺の阿修羅像は、合掌している手が修復されており、本当にその手が元々合掌していたかは定かではないそうですが、美術品としてみると、それもありなのだとか…。

 

 

A    株式会社シベール(ラスク工場・遅筆堂文庫山形館・シベールアリーナ)

今年度の県高社研において、株式会社シベールの熊谷眞一会長から講演をいただきました。県内にあるお菓子屋に育った熊谷会長は、小学校の時に校長先生から言われた一言から、お菓子屋として成功を収めてやる!という強い気持ちを持つようになったそうです。そんな熊谷会長は、「企業の利益は、地域に還元しなければならない」ということから、様々な施設を造られました。シベールアリーナは、約500人が入場できる演劇ホールになったり、座席を収納して卓球用のスペースになったりします。また、生前親交のあった故・井上ひさし氏の所有していた、蔵書の中から寄贈された約6万冊の本が遅筆堂文庫山形館にあります。また、来年には『井上ひさし未来館』を開館する予定だそうです。

その後、シベールカフェにて昼食を頂きました。

 

シベールアリーナは、座席を収納すると、卓球用スペースにもすることができます。

 

ラスク工場を見学           昼食は、参加者全員で美味しく頂きました

 

B    長谷堂城址公園

「もうひとつの関ヶ原」といわれる、1600年の『長谷堂合戦』の舞台となったのがこの地です。長谷堂城では、最上軍の志村光安が、直江軍の攻撃から城を守りきり、大きく貢献しました。

昨年はNHK大河ドラマ『天地人』効果で、多くの観光客が訪れましたが、我々が訪れた日は比較的観光客も少なく、のんびりと説明を聞くことができました。麓から山頂をまわる約1時間半のコースでしたが、地元ボランティアの方々から丁寧な説明をして頂き、充実した時間を過ごすことができました。ボランティアの方々は60歳代が中心でしたが、80歳代の方もいらっしゃって、元気に話をしながら軽快に案内されている姿に、驚きを隠せませんでした(昨年は観光客が多く、一日に3回も上り下りしながら説明することも多かったそうです。我々は1回でもヘトヘトでしたが…)

 

麓は、天地人効果もあり整備されていました   地元ボランティアの方々から説明を受けました

 

 

中腹からは直江軍の本陣が目前に見えました   山の周辺には「曲輪」という段丘状の防御構造が

 

↓城跡がある山頂から説明をうける

 

山頂へは、いくつかの入口・ルートがありました↑

山頂からの眺め。敵の本陣、長谷堂合戦の戦場、直線で約6`先には山形城も見渡すことができる

 

◎最後になりましたが、今大会担当された村山地区の先生方、各地で案内・説明して下さいました方々、

 本当にありがとうございました。感謝申し上げます。

 

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