平成21年度 山形県高社研 地域巡検
平成21年11月17日(火)
参加者: 9名
※ 地理部会からは、米工の有川・白旗2名が参加しました。
【巡検の内容】
@ 川西町エコ・スノードーム 13:30〜
川西町の新エネルギー導入事業の一つです。エコ・スノードーム(雪冷房システム)は冬に積もった雪をドーム内に蓄え、町の公共施設「フレンドリープラザ」の冷房として利用するための施設で、2008年に完成しました。
2棟のドームを用いて最大貯雪量は2568㎥・963トン分。計画冷房時間は334時間が見込まれています。
日本各地で導入されつつあるこの設備、2年間の稼働を通して実際に省エネ効果も実証されたようです。2008年の春から夏にかけて冷房が初稼働しましたが、フレンドリープラザ内では年間で約100万円分の電気料金をまかなうことができたとのことでした。2つのドームをフルに雪で埋め尽くせば、十分にひと夏分の冷房に使えるそうです。ただし、2009年は冷夏のため、稼働日数が少なく、雪が余ってしまったとのこと。余った雪は仕方なく10月に消防車のポンプを使って吸い出したそうで、気候次第では余分なコストがかかるようでした。
2棟あるドームの一つの中を見学 夏場ドーム内部は雪で埋め尽くされ、フレンドリープラザの建物内を冷却します
フレンドリープラザ内にはスノードームのシステムを電光表示板タッチパネルで説明しているブースがあり、小学生の社会科見学などで利用されています。
@ 掬粋巧芸館 14:30〜
川西町のはずれ、樽平酒造から道路を挟んで向かいにある美術館。1932年(昭和7年)設立で、日本では3番目に開設した施設美術館です。財団法人登録としては日本初の登録美術館となります。
中国は漢時代〜清時代/朝鮮は新羅〜李朝/日本は鎌倉時代〜近代/南方 の陶磁器(600点弱)が展示されています。中でも有名な展示物として「染付飛鳳唐草文八角瓢形花生 元時代 景徳鎮窯」があり、大きさ・美しさともに目を引きます。そのほか特別展として、4月末から「前田慶次と甘糟備後守景継の甲冑」の展示がされ、目玉となっています。前田慶次の甲冑はこれまで展示していなかったそうで、貴重であるとのこと。2008年11月いっぱいで展示は終わるそうですので、ご覧になりたい方はお急ぎください!(12月〜3月休館)
鎧も感動でしたが、管理人自身、漢代までさかのぼる大昔の数々の美術品(しかも本物)を目にするのは初めてで、館長さんの説明を聞きながら当時の陶磁器製造技術力に圧倒されていました。中国4千年の歴史は偉大です。館長さんの話も熱弁で、大変興味深く聞かせていただきました。
掬粋巧芸館外観 甲冑・展示物が痛まないよう日光を完全に遮断しています 前田慶次着用の甲冑 館内で本物が拝めます
巧芸館への入館は、向い側の樽平酒造株式会社へ申し込むと入れます(案内つき)入館料250円
公式HP:財団法人 掬粋巧芸館
A 樽平酒造 15:40〜
川西町の酒造会社。元禄元年(1695年頃)創業の300年余りの伝統を誇る老舗酒造。代表的な銘柄に「樽平」「住吉」「雪むかえ」などがあります。中でも「住吉」は人気コミックス「美味しんぼ」(雁屋哲)にも紹介されたことがあるそうです。
樽平酒造外観 伝統を感じさせます
全員が白衣着用の上、酒造工程を順番に説明していただきました。現在はまさに日本酒造りのシーズンで、工場も活気づいていました。
若者の日本酒離れが進み、多くの酒造会社が若者向けの対策を講じている状況の中、樽平酒造さんでは昔ながらの伝統的な製法を守り続けており、個性ある日本酒を造っています。たとえば普通の日本酒は炭素ろ過を行うため透明ですが、樽平酒造さんはろ過をあえて行わないので酒に色味がつき、日本酒本来の風味や極味を残すそうです。その他にも添加物を一切使わないなど、“日本酒本来”にこだわる方針・姿勢は近年の酒蔵にはほとんど見られません。
樽平酒造 高橋さんに説明していただきました 上質の吉野杉の木の樽(なんと年号は文化!)木の香りを酒に付します
下記の公式ホームページに製品・製造工程など詳しく載っていますので、興味のある方はご覧ください!
公式HP:樽平酒造株式会社
16:30 解散
最後に、今回の地域巡検を担当された置農の先生方、各見学地で案内・説明をして下さった皆様に心から感謝申し上げます。